神経画像・神経生理
神経画像・神経生理グループでは、MRI、NIRS(光トポグラフィ)、脳波を用いて、精神疾患の脳機能および脳形態の異常を解明する研究をしています。
MRIは主にVBMやFreeSurferといった解析プログラムを用いて精神疾患と健常者の脳形態や構造の違いを比較する研究を行っています。脳神経内科、放射線科との共同研究で、神経疾患と精神疾患の病態の異同について脳形態研究を行っています。また、理化学研究所との共同研究で、双極性障害の遺伝子解析と脳形態・脳機能の関連研究を行っています。
NIRSは、山口大学との共同研究で気分障害の自殺関連事象と情動刺激課題による前頭葉機能との関連や、名古屋大学との共同研究で自動車運転能力との脳機能の関連等について研究しています。
脳波研究では、定量分析を用いた課題遂行中の脳の機能的変化の研究、α帯域律動の振幅変化の解析による覚醒水準の検討やγ帯域律動の同期性の解析による脳の機能的結合の検討等を行っています。α帯域律動の事象関連変動の解析により、注意の方向性に関連した脳機能の違いを明らかにし、注意の障害を有するような精神疾患(注意欠如・多動症など)の脳機能を明らかにし、将来的にこの検査により診断・治療的バイオマーカーとなることを目指しています。
神経薬理
抗精神病薬や抗うつ薬などの向精神薬がなぜこころの病気に効果があるのか興味を抱いたことはありませんか。
精神薬理学は、これらの薬物の働きを薬理学的に明らかにし、ひいては複雑な高次脳機能の制御機構とその破綻による病態に迫ろうとする学問です。
現在使用されている向精神薬の多くも、この領域の先人たちのたゆまぬ努力の結果生み出されてきたものです。
私たち臨床家は、これらの向精神薬の使用に習熟し患者さんの利益に資することを実践的に学ぶだけでなく、その背景にある理論や機序を理解することでよりよい治療者となることができるでしょう。
私たちがこれまで主に進めてきた研究は、細胞膜上の受容体を介する細胞情報伝達系に関するものです。
図にあるように、受容体はG蛋白を介して細胞内二次メッセンジャーの産生を制御しています。
精神疾患の病態や治療におけるこれらの情報伝達系の関与についてさまざまな手法を用いて研究を進めています。
あなたも将来のAxelrodになりませんか。
てんかん
てんかんグループでは、東京農工大学との共同研究により、「動画像を用いたてんかん発作検知デバイス」の開発に取り組んでいます。てんかん発作はいつどこでおきるか全くわかりません。もし自宅でひとりで寝ているときに発作があったら、患者さんは自分で気づくことができませんし、家族も気づかないことがあります。そんなとき、カメラの映像から自動的に発作を検知することができれば、同居している家族に知らせたり、遡り録画をして外来主治医に見せることができます。
私達はすでに、強直間代発作(いわゆる全身けいれん)の検知アルゴリズムの作成に成功し、特許を申請しました。てんかん発作にはその他にも様々な発作型がありますので、それらの検知アルゴリズムの開発にも取り組んでいます。
また、実際に自宅で使えるデバイスの作成にも取り組んでいます。
児童・青年期、発達障害
児童・青年期、発達障害グループでは、自閉スペクトラム症患者の感情認知の困難さをオリジナルに作成したビデオクリップ中の登場人物の感情の評価という比較的直接的な方法で評価・検討する研究を行っています。
また、児童の発達障害を診断する簡便な方法はないかと研究しています。小児用ウェクスラー知能尺度第4版(WISC-Ⅳ)を自閉スペクトラム症の臨床に適用するためには、どの項目に特徴が現れるかを研究しています。
この他にも、児童・青年期の患者さんの治療経過などについて学会等で症例報告しています。